無題ドキュメント

Pecheurに込めた想い

Pecheurに込めた想い

  • 沼津の干物業界活性化のために…
  • 洋食にも合う干物で食卓を楽しく…
  • 沼津の干物業界活性化のために…
  • 洋食にも合う干物で食卓を楽しく…
小松寛プロフィール

有限会社ヤマカ水産 専務取締役
1981年8月1日生まれ 静岡県沼津市出身
趣味 今年からゴルフを始める、子育て
大学卒業後、築地の仲卸業を営む株式会社ヤマセ村清に入社。しらす、ちりめん、魚卵、鮭、煮干しや昆布などの乾物、全国各地で製造された干物など25,000点におよぶ商材を取り扱い、ここで水産物に対する知識を得る。
2009年より有限会社ヤマカ水産で干物製造に携わり、現在に至る。

沼津の干物業界を活性化させたい

大正元年創業のヤマカ水産は、沼津でも老舗の干物加工・販売会社です。全国的に知られる「沼津の干物」ですが、現在、その業界全体が縮小傾向にあります。
最盛期、沼津には300軒近くの干物製造・卸しの会社があったんですが、今は100軒ほどになってしまいました。原料の水揚げ量は下がってきていて、原価がどんどん高くなっています。原料の価格が年々上昇しているのに、売上が上がっていない状況です。

干物の加工方法はそんなに複雑ではないので、どこの会社でも同じようなものができてしまう。他社との差別化が難しい業界なんです。

「沼津の干物」は有名ですが、じつは加工専門。ほぼ100%、地元で獲れた魚を使っていません。仕方のないことですが、それだけ、商品として対応できる魚が沼津で獲れないという証拠。しかも、沼津の干物屋さんの多くは、沼津で獲れた魚でおいしい干物ができると思っていないんですよ。

今、さまざまな問題で、漁師さんたちがどんどん辞めてしまっています。私たちは、漁師さんが獲った魚を使わないと商売できませんから、いっしょに活性化しないと業界全体がよくならない。漁師を続けよう、良い魚をたくさん獲って来ようというモチベーションにもつながりますよね。
干物の業界全体を活性化させ、いっしょに一次産業(漁師さん)を活性化させたいと思っています。

Pêcheur(ペッシュール)のコンセプトは「パンにも合うhimono」

私たちが提案する、新しい商品のブランド名は「Pêcheur(ペッシュール)」。
フランス語で「漁師」という意味です。一次産業に従事されている方々と一緒に活性化していくという決意と、漁師さんへの感謝の意味もあります。

私たちが作り上げたのは、「沼津の地産にこだわった、一度も冷凍しない新しい干物」。従来の干物のイメージを変えたいという思いがありました。
干物は和食で、朝ごはんに食べるというイメージがありますよね。臭いのことや、後片付けが面倒だという印象を持つ人もいるでしょう。そういうイメージを変えたかったんです。

ハレの日に食卓に並べる魚料理といえば、お寿司や刺身ですが、それを干物にしてやろう、と(笑)。干物を特別な日に食べてもらいたいんです。日本酒や焼酎だけでなく、シャンパンやワインにも合う、洋食のような干物。この発想がペッシュールのコンセプトにつながっています。
みんなが抱いているイメージをガラッと変えさせたい。「本当にこれが干物?」「こういう干物もあるんだ!」と驚かせて、干物の方を向いてもらいたい。そうするには、思いっきり「とんがった発想」の商品を出すこと。この要素は不可欠でした。

それから、「新しい食べ方の提案」です。今までの干物はグリルで焼くと煙が出るので、部屋の中で焼くのを躊躇してしまいますよね。ペッシュールの商品は、フライパンで簡単かつ手軽に焼いていただけるのが魅力のひとつ。付属のソースは、野菜やパンにも合うんです。今後はソースにも県内産の素材を使っていく方向を考えています。

商品が完成していくにつれて「特別な日に干物を選んでもらう」という、目指していた土俵に乗れるかもしれない、という「実感」がどんどん「確信」に変わっていきました。だって、今までその土俵にすら乗れなかったし、まず選択肢にも上らなかったんですから(苦笑)。

他業界を経たからこそ見える現実がある

ヤマカ水産の専務取締役に就く前、武者修行として、しらすやちりめんをメインで販売している築地の会社で5年ぐらい働いていました。家業とはまったく違う商品を取り扱っていたのですが、今となれば、それは逆によかった事だと思っています。その会社では、干物業界だけにいては知ることができないことをいろいろ教えてもらいました。
その会社では、昆布や煮干しのほか、鮭やイクラなど2万5千アイテムもの商品を扱っていました。そこでいろんな商品の知識や、輸出に関する予備知識などを学んで、家業であるヤマカ水産に戻ってきました。
一度離れて、外側から干物業界を見ると、変化している時代についていけてないように感じたんです。
私たちのような会社がまず立ち上がれば、きっと後に続く人たちが増え、
活性化につながるでしょう。そのために、一度、業界をひっくり返す商品を作り出したいという思いがありました。

業界のトップランナーを目指して…
今まで接することがなかった、エンドユーザーとの距離を近づけ、その生の声を活かした商品を開発していきたいです。そうすれば、干物だってまだまだ進化していけるのではないでしょうか。
ペッシュールをまったく新しいブランドとして立ち上げるにあたり、自社工場の隣りに小売り店舗を構えることにしました。ここを拠点に、店舗数も増やして地元の人が気軽に買いに行ける商品にしていきます。
首都圏や都市部の百貨店での展開はもちろん、将来、銀座に出店したいと考えています。販売だけでなく、実際に食べてもらって新しい形を提案していきたいですね。
今の干物業界で、こんなに変わったことをしている会社は他にありません。お客様に驚きを与え続けて、業界全体を引っ張っていくトップランナーとして、これからも新しい商品を開発してどんどん提供していくつもりです。
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増井靖丈プロフィール

フードデザイン株式会社 代表
静岡県富士市出身
都内の数々の有名レストランにて研鑽を積む。銀座レカン:十時亨氏や、料理の鉄人坂井宏之の愛弟子で、フランスでミシュランの星を獲得した二人目の日本人、田中彰伯氏など、有名シェフ達に従事。
ミシュラン三ツ星レストランにて修業後、静岡に戻る。
2004年にフランスのサンフォルチナからシュバリエ勲章を授与
大手企業の飲食部門の立ち上げ、ゲストハウスの総料理長などを歴任後、フードデザイン株式会社設立。

食の世界で培ってきた技術を異業種へ循環させたい

父は兼業漁師でした。おかげで子どもの頃から、いつも獲れたばかりの新鮮でおいしい魚ばかり食べていたんです。
私はシェフの道を選び、食の世界に30年ほど携わってきました。修業時代は三ツ星レストランで働き、「現代フランス料理を作った三人のうちのひとり」と言われている人に師事。「フランスの食文化を日本に伝えている」という功績で、フランスから「シュバリエ勲章」をいただいた際、「後進たちのためにシュバリエを有意義に使いなさい」と(故)帝国ホテルの村上ムッシュ(村上信夫氏)が言ってくださいました。
今まさに、フランス料理の技術が日本の干物業界で水産業界へスイッチし、それを小松さんが広めてくれて、とてもいい循環になっています。

自分が持っている料理の技術と食に携わってきた知識が、いつかほかの業界で活きることがあるだろうと思いながら、シェフをやってきました。私は「職人」で終わりたくなかった。ですから今回の新ブランド、ペッシュールの企画で、自分の技術が活かされていることがとてもうれしいですね。
持っている技術は、誰にでもできることではないんです。作って見せる、プロデュースして見せること。私は、それが大切なことだと思っています。
一次産業の人たちが、野菜を作る人は野菜作りに徹し、魚を獲る人はそれに徹する。それを具現化するのが私たちの仕事です。

若きチャレンジャーとの出会い

30〜40代は、「何かを変えなきゃ」と思う世代ではないでしょうか。小松さんは干物業界の現状を目の当たりにして、「今、何かしなきゃいけない」「干物業界で干されてたまるか!」って思っていたんじゃないかな。
業界のために何かやるなら、会社と小松さんの体力があるうちに新しいものを作っていかないと間に合わない。あるとき、何気なく「干物のプロデュースもするから、何か困ったら声かけてね」と言ったのが始まりでした。

昔ほど魚が獲れていないという現状はわかっていたんですが、実際にスーパーへ行って並んでいる商品をひっくり返して見たら、原材料の表示が韓国やオランダ、長崎などで、沼津ではなかったんです。小松さんにどういうことなのかたずねたら、「昔から沼津は加工地なので、地元で獲れた魚を使っていないんです」という答えが返ってきた。以前から一次産業に対する思いもあったので、「じゃあ、いっそ原点に戻った商品作りをしましょう」ということになりました。
作るなら、自分たちが「食べたいなあ」「美味しそうだなあ」と思うものが一番ですからね。

干物の常識を覆した商品で、目指すは世界進出
「干物」は魚料理の一部。食品を塩で加工したり、天日で干したりすることは、じつは世界中どこでもやっていることなんです。

日本では「干物」という名前で流通していますが、長年フランス料理に携わってきた私にとってみれば、「干物」は「魚の加工法」と同じこと。だったらパンにも合う商品を作れるだろうし、ソースをつけてもいい。
例えば朝、パン派とごはん派のために2種類のおかずを作るのが大変なら、ひとつのフライパンで両方に合うおかずを作ることができればいいんじゃないかなぁって。それを小松さんに「こんなこと考えたんだけど、やってみませんか」と提案しました。

ペッシュールの最終目標は世界進出です。目標が大きすぎるんじゃないかって? そんなことはないですよ。ソースがついていれば、世界中どの国の人だって干物を食べることができるんですから。

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宝物が眠る食材の宝庫、静岡県

春にサワラを食べて、夏になったらまた別の、旬の魚を食べる。お客さんがほかの季節にサワラを食べたいと思っても、「ありません」。でもそれでいいんです。

干物の業界には旬がありません。たとえば、スーパーに行くと、一年中アジが買えるわけです。普通じゃないですよね。自然にあるものは自然の摂理で存在しているのが普通なんです。消費者の皆さんに、その「普通」を提供しようというのもコンセプトのひとつです。

駿河湾は、世界中の海でいちばん魚種が多く、現状1800〜2000種類ぐらいといわれてます。私たちは、そんな素晴らしい場所で暮らしています。おいしい魚がいっぱいあるので、お客様にもそれをぜひ再発見していただきたい。

まだ世の中に出ていないものを発掘すること。それをプロデュースして世の中に出し、一次産業が潤うようにするのも、私の使命だと思ってるんです。静岡県は食材の宝庫ですから、まだまだ発展できますよ。そういう高いポテンシャルを持っている県です。

一次産業に育ててもらった私たちだからできること

小松さんは、私より年齢が一回り若いんですよ。彼は驚くほど素直で柔軟な性格。私が「こういうことをやったらどうだろう?」と提案すると、スポンジのようにスッと受け入れてくれます。非常に仕事がやりやすい。若くても、頑固な社長さんっていっぱいいるじゃないですか。小松さんは、葛藤しながらも「わかりました、やってみてください」って言える人なんです。

私の技術が商品になり、こうして言葉になって、小松さんの思いと合体していいものができるっていうのが非常に楽しいです。小松さんからも、「ああいうのがやりたい、こういう事がやりたい」とアイディアが豊富に湧いてきています。二人で話すことによって素晴らしい化学変化が起きている。これからもきっと、いいものを皆さんに提供していけると思います。

しかも、冒険みたいな新ブランドの企画を受け入れてくれる土壌があって、やらせてくれる会社がちゃんとある。パートナーって大事です。
新ブランド「ペッシュール」の商品は、自分の子どもにも食べさせたいと思うし、小松さんの子どもも絶対に食べてくれる。一次産業に育ててもらった私たちですからね。このブランドを成功させて干物業界を活性化させ、一次産業に恩返ししたいと思っています。


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